マーケティング支援
【河村醤油様】地元以外のお客様をどう増やすか。河村醤油の認知拡大と販路開拓

Xのフォロワーは約600人から1万3,000人超へ。理念の整理からデザイン、SNS、販路づくりまで、約2年半にわたる取り組み。
1919年創業の河村醤油株式会社。山口県光市で「醤油といえば河村醤油」と言われるほど、長年にわたって地域の食卓を支えてきた老舗醤油メーカーです。

地元で親しまれる一方、光市の外では、商品や会社のことを知ってもらう機会が限られていました。ECサイトやSNSはあっても、どう発信し、どう売上につなげていくか。その道筋が見えないことが課題だったといいます。
2024年から始まったeachvistaとの取り組みは、写真撮影やSNSの整備に始まり、経営理念の言語化、ロゴやブランドを象徴する柄の制作、ECサイトのリニューアル、キッチンカーを通じた認知拡大へと広がっていきました。さらに、山口新聞での連載や海外向けの発信など、新たな接点づくりも進んでいます。
約2年半の取り組みで、何が変わったのか。5代目社長の河村光昭様に、これまでの歩みと今後の展望を伺いました。

eachvistaと関わったきっかけを教えてください
出会いは、知人の紹介でした。池ケ谷さんが光市に移住されてきた方で、デジタルマーケティングの分野で実績があると聞いたのがきっかけです。
当社でも、これからはデジタルへの取り組みが必要だと感じていました。ただ、何から始めて、どう進めればいいのかが分からなかったんです。
専門的な知識を持つ方が身近にいて、一緒に考えてもらえるかもしれない。それが心強く、まずは話をしてみようと思いました。
仕事を依頼しようと思った背景を教えてください
実績や知識をもとに、当社に必要なことを具体的に提案していただけたことが大きかったですね。
初めてお会いしたときから、仕事に真摯に向き合う姿勢や、成果につなげようとする熱意が伝わってきました。人として信頼できると感じたことも、お願いする決め手になりました。
デジタル分野を強化したい気持ちはあっても、自社だけではなかなか進められませんでした。戦略を考えるところから、実際に形にするところまで相談できることが、私たちにとって魅力でした。
取り組みを始める前はどのような課題がありましたか
当時もECサイトとInstagramはありましたが、十分に活用できていたとはいえませんでした。

Instagramは、何を投稿すればいいのか分からず、その都度、思いついた内容を載せるような状態でした。商品の魅力を伝える写真も足りていませんでしたし、投稿しても、どのくらい効果があるのかが見えにくかったですね。
ECサイトも、すでに河村醤油を知っている方が、いつもの商品を買いに来る場所という性格が強かったと思います。初めて訪れた方に、どんな会社で、どんな商品があるのかを伝える情報が不足していました。
そこで、まずプロのカメラマンによる撮影を行い、発信に使う素材を揃えていただきました。Instagramの見せ方も整理してもらい、「見たよ」「きれいになったね」と声をかけていただくようになりました。


一方で、見た目を整えた後も、投稿を継続する難しさは残りました。日々の仕事をしながら、画像や動画を用意して更新していく。その負担が、次に解決すべき課題になったんです。
経営理念やブランドの整理はどのような変化につながりましたか
ミッション・ビジョン・バリューを整理できたことは、特に大きかったです。
それまでは、個々の取り組みについて考えることはあっても、会社として何を大切にして、どこへ向かっていくのかが、はっきりと言葉になっていませんでした。
eachvistaさんと話し合いながら、河村醤油が存在する意味や、これから目指したい姿を整理していきました。進む方向が見えたことで、ロゴのリニューアルやイベント、キッチンカーなど、その後の取り組みにもつながっていきました。

ブランドの見せ方で特徴的だったのは、ロゴとあわせて、河村醤油を象徴する「柄」をつくったことです。
醤油メーカーのロゴは、並べて見ると似た印象になりやすく、初めての方に覚えてもらう難しさがあります。そこで、「この柄、見たことがある」と思ってもらえるように、視覚的な特徴を持たせました。

その柄をキッチンカーやパッケージ、パンフレット、封筒などに展開し、どこで出会っても同じ河村醤油だと分かるようにしていきました。

理念を社内全体に浸透させることは、まだこれからの課題です。ただ、経営として判断するときの軸ができ、発信やデザインにも共通する方向性を持てるようになりました。
ECサイトはどのように変えていきましたか
商品を購入する機能に加えて、河村醤油のことを知っていただくホームページとしての役割も持たせました。
以前は、写真やレビュー、読み物などの情報が少なく、どうしても味気ない印象がありました。そこに商品の写真や紹介文、会社の考え方を伝える情報を加え、初めての方にも理解していただけるように整えていきました。

SNSやイベントで河村醤油を知った方がサイトを訪れたときに、商品や会社への理解を深めて、購入を検討できる。そうした場所になってきたと思います。
発信する場所を増やすだけでなく、興味を持ってくださった方がたどり着く先を整えることも、大切な取り組みでした。
キッチンカーを導入したことで、どのような広がりがありましたか?
最大の成果は、地元・光市を飛び出し、県外を含む新たなマーケットへ能動的にアプローチできる「動くショールーム」を持てたことです。


醤油は地域性が非常に強く、家庭ごとに慣れ親しんだ定番があるため、商品棚に並べるだけでは他地域の方にスイッチしてもらうのが難しい商材です。だからこそ、待つのではなく「まず味を体験してもらう場」を自ら作り出す戦略としてキッチンカーを始動させました。その戦略拠点として選んだのが、レノファ山口のスタジアムです。
スタジアムは熱量の高い地元ファンだけでなく、対戦相手である県外のアウェイサポーターが定期的に流入する絶好の顧客接点になります。実際に初出店した際には、醤油の香ばしい香りとデザインされた車両が目を引き、試合開始までの約4時間にわたって行列が絶えないほどの大反響をいただき、新聞などメディアにも取り上げていただきました。

この熱気が現地での口コミやSNSでの拡散につながり、狙い通りアウェイのサポーターの方からも「この醤油はどこで買えるのか」という問い合わせをいただくようになっています。直近でも福岡県のお客様から注文をいただくなど、確かな実需へ結びついています。 キッチンカーは単なる飲食販売にとどまらず、「地域を越えて全国へファンを広げていくための強力なブランド発信拠点」として機能しています。
Xのフォロワーが大きく増えた背景を教えてください
SNSの中でも、日常的な発信の中心をXに移したことが転機でした。
Instagramは、画像や動画を整えて投稿するまでに時間がかかり、なかなか更新頻度を上げられませんでした。そこで、eachvistaさんから、写真と文章で気軽に発信できるXを活用する提案をいただいたんです。
Xなら、日々の仕事のことや商品のこと、キッチンカーの出店情報などを、そのときに投稿できます。私自身も続けやすくなり、1日に何度も発信できるようになりました。
キャンペーンについても、プレゼントを用意するだけではなく、企画の見せ方や文章を一緒に考えていただきました。例えば、「何名様に1本」という伝え方から、「醤油1年分」という印象に残る見せ方に変えるなど、そのときのSNSで反応が得られやすい表現を試していきました。
そうした企画をきっかけに投稿が広がり、約600人だったフォロワーは、取材時点で1万3,000人を超えました。しかもフォロー解除が本当に少ないんです。この醤油屋、なんか変なことやっているな、っていう認識を持ってくれているからこそ、プレゼント目的だけじゃないフォロワーが増えてくれていると感じてます。

レノファのサポーターの方々との相性も良かったですね。会場で食べてくださった方の投稿をこちらから紹介したり、出店情報を届けたりすることで、現地での接点とSNSでのやり取りがつながっていきました。
フォロワー数が増えたことに加えて、河村醤油について発信してくださる方や、日頃から情報を受け取ってくださる方が増えたことを実感しています。
新聞やテレビなどのメディアでの発信にはどのような効果がありましたか
キッチンカーやSNSでの取り組みが広がる中で、新聞やテレビに取り上げていただく機会も増えていきました。
出店時の行列が新聞で紹介されたり、テレビの取材を受けたり。SNSで見てくださっている方とは、また違う方々にも河村醤油を知っていただくきっかけになりました。テレビで紹介された後には、売上への反応もありました。

また、山口新聞での連載も始まり、継続して河村醤油を知っていただく機会ができました。新聞を通じた発信が加わったことも、認知を広げるうえで効果があったと感じています。

キッチンカーでの出会い、SNSでの発信、新聞やテレビでの紹介。それぞれの取り組みが重なることで、情報が届く範囲が広がってきたと思います。
商品を知ってもらった後の購入しやすさにも取り組んでいるそうですね
はい。知っていただく機会が増えると、「どこで売っていますか」というお問い合わせもいただくようになりました。
そこで、LINE公式アカウントを整備し、キッチンカーの情報を届けるとともに、商品を購入できるお店を確認できるようにしました。お問い合わせに一件ずつお答えするだけでは対応が難しい部分もあったので、お客様ご自身で探せるように整理していただきました。

また、ECの商品に同封するパンフレットや段ボールや、店頭のPOP・販促ボードなども制作していただいています。

こうした場所でも、共通の柄やデザインを使うようにしています。SNSやキッチンカーで見かけた方が、売り場でも河村醤油だと気づけるようにするためです。
商品を知っていただいてから、買える場所を探し、実際に手に取っていただくまで。その間の分かりにくさを、一つずつ減らしてきました。
売上やお客様の反応にはどのような変化がありましたか?
ECサイトの売上が前年比を上回り続けているだけでなく、その熱量が実店舗(店頭)にも波及し、前年超えを達成する月が着実に出てきています。もちろん、広告費は1円も使っておりません。

以前と比べて「SNSやメディアで見ました」と直接お店へ足を運んでくださるお客様や、販売場所に関するお問い合わせが明らかに増えました。オンラインで知った方がリアルな店舗へ訪れ、あるいはキッチンカーで味を知った方がECや店頭でお買い求めいただくなど、「EC」と「店頭」が分断されず、相互に売上を押し上げ合う好循環(オムニチャネルの連動)が生まれています。
この変化は、何か単一の施策によるものではありません。写真やデザインの統一、ECサイトの改善、地道なSNS発信、キッチンカーでの体験づくり、そして新聞やテレビでの露出。これら一つひとつの顧客接点を丁寧に繋ぎ込んできた結果が、地域を越えた認知拡大と、EC・店頭双方の実売という形に結実していると感じます。
今後の商品づくりや販路拡大について教えてください
これからは、醤油を大切な柱にしながら、初めての方が河村醤油に出会いやすい商品を増やしていきたいと考えています。
醤油そのものを替えていただくには、やはりハードルがあります。一方で、特定の料理に使うたれや、気軽に食べられる商品であれば、試していただくきっかけをつくれるのではないかと思っています。
そのために、eachvistaさんと商品の役割を整理し、漬物の素や焼きそば関連商品の見直し、パッケージのリニューアルなどを進めています。肉巻きおにぎりやスパイス、お菓子、みたらし団子といった商品の可能性も検討しているところです。

商品が変われば、お客様と出会う場所も変わります。スーパーでも、醤油売り場以外の場所に接点をつくれるかもしれません。

新しい商品については、まだ模索している段階です。河村醤油の味や魅力を、どのような商品なら手に取っていただきやすいのか。そこから一緒に考えていただいています。
海外に向けた取り組みも進めているのでしょうか
はい。国内での認知拡大と並行して、海外への展開にも取り組んでいます。現在は、カナダとブラジルに流通があります。
カナダでは、JETROの専門家も活用しながら現地を訪問し、商談などを進めてきました。その際に使う、商品の使い方などを英語で紹介する動画を、eachvistaさんに制作していただきました。

海外では、日本の醤油や調味料をどう使うのか、言葉だけでは伝わりにくい部分もあります。動画で使い方を見せられることは、商品を紹介する助けになります。
海外向けの取り組みは、まだ大きな成果が見えている段階ではありませんが、今後も販路を広げていきたいと考えています。国内の発信とあわせて、こうした準備も相談できることは心強いですね。
最後にeachvistaとの取り組みを振り返って一言お願いします
最初は、デジタルのことをどう進めればいいのか、分からない状態でした。そこから一緒に考えてもらい、今では会社の方向性やブランドの見せ方、商品を届ける方法まで、相談する範囲が広がっています。
必要だと感じていても、自社だけでは手をつけられなかったことを、一つずつ形にしてこられました。取り組んでみて難しいところがあれば、SNSの発信方法のように、自分たちが続けやすい方法を考えてもらえる。それもありがたいですね。
会社としての方向性が見え、河村醤油を知ってくださる方や、商品に触れてくださる方が増えてきました。
これからも、地域で長く親しまれてきた味を大切にしながら、新しいお客様との接点をつくっていきたいと思っています。その歩みを一緒に進めていけるパートナーとして、引き続きeachvistaさんに力を貸していただきたいです。